足立唯(あだちゆい)の北海道チーズ巡り
「北海道のチーズについて、もっと詳しく知りたい!どんな人が作っているの?」
そんな声にお応えするために、月2回のコラムを連載いたします。
第八回目は、「チーズ工房アドナイ」(興部町)です!
北海道の町村に行くと、”うちの町は暮らす人間よりも牛の方が多いよ〜”なんて言葉を耳にします。
チーズ工房アドナイのある町、興部(おこっぺ)町もそのひとつ。 「おこっぺ」とはアイヌ語のオウコッペ。
「川尻の合流しているところ」という由来をもつ、漁業と酪農業が盛んな道北の町です。
チーズ工房アドナイが誕生したのは1994年。
まだまだ日常の食卓ではチーズが珍しかった時代です。
北海道チーズの歴史の中では第二世代ともいわれている堤田克彦さんが、乳業に携わるかたわら、ほぼ独学で試行錯誤を繰り返しながら今日の北海道チーズの土台を作りあげてきました
原料の生乳は近くの信頼する酪農家さんから。
いくつかの牧場から届く生乳は、育て方や季節によって異なります。
その異なる性質を活かして、作るチーズに合わせて生乳を使い分けることも。
チーズ作り専門の工房だから可能な方法かもしれません。
可愛らしい子羊のマークは、聖書に出てくるいけにえの子羊がモチーフ。
工房を見渡しても羊はいないのに、なぜ羊のマークなのかな?と思っていましたが、”守り、導いてくれるイエス・キリスト”を表す、あたたかな思いが込められていました。
現在は息子さんたちも製造販売に携わり、家族みんなでアドナイの味を届けてくれています。 (木箱に貼られたロゴシールは、ペリッと綺麗に剥がれるのでステッカーとして使うのもオススメですよ^^)
ちなみに、興部町にはアドナイ、ノースプレインファーム、冨田ファーム、パインランドデーリィと、4つのチーズ工房があります。
車ならサクッと回れる範囲にかたまっていて、チーズ巡りにぴったり!
穏やかで、飾らない北海道らしさが魅力の町です。
・チーズ工房アドナイの主な商品
「SAYURI さゆり」白カビタイプ
「フロマージュ・ド・エール」ウォッシュタイプ
「ミモレット・アドナイ」
「スカモルツァ・スモーク」
「スカモルツァ・ビアンコ」
「マスカルポーネ」 等
<筆者プロフィール>
足立唯/あだちゆい
北海道のチーズを食べるのが趣味のコンテスタッフ。
チーズ好きが高じて販売に携わるようになり、道内外のチーズイベントに出没。
道産チーズのミニ講座や物書きとしても活動中。
JR北海道の車内誌『THE JR Hokkaido』の〈道産子のお気に入り〉ページにて、北海道の食にまつわる場所を紹介するコラムを執筆。2018年5月〜2020年3月まで、全12回。